まぢいと思ったが、悩んでいる時間はない。こういうときは、堂々とするしかないから、入口のスタッフに「どうやら財布を忘れました。夕方までに支払いに来ますから良いですか?」と聞いた。良いですか?ったって、ダメとは答えられるはずがない。一瞬あちらが困った顔をするので、「あ。夕方は無理かもしれません。遅くなるかも。何時までなら良いですか?」と聞きなおす。ここまで言えば嘘ではないと思ってくれたのか、名刺一枚で解放された。
仕事先の会場で、金を借りれそうな知人を見つけて、「一枚貸してくれ」と頼むと、両脇にいた二人を含めて三人が財布からお金を出してくれた。そのなかから、一番返すのに手間のかからない人から一枚借りた。世の中まだまだ捨てたもんじゃないなあ。
はじめての無銭飲食はこうして一時間で終わった。
しかし、なんでこんなにドキドキしないんだろうと考えた。そういえば、15年前に無銭宿泊したことがあったなあ。寝過ごして終電のない町でお金も足りなくて、無理矢理できたばかりのホテルに泊まらせてもらったんだ。最初はロビーで寝かされたけど、深夜になって、従業員部屋で寝かせてもらった。そして明け方、帰ってくれと追い出された。金はいらないと言われたけれど、女武士としてそういうわけには行かぬ。友人に金を持ってきてもらって、ゲラゲラ笑いながら帰った。あの時以来、ちょっとやそっとじゃ動揺できない。人はほんとに、低い方低い方に流れていくんだなあ。いやはやいやはや。















































